遊歩の楽しみ「街から山へ、山から街へ」

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自然の力

<<   作成日時 : 2008/02/28 23:47   >>

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 もう3年ほどたつ。季節は今より少し前の、春にはまだほんのちょっと遠い時期だった。入院中、意識もうつろな母を車いすに乗せて毎日病院の庭を散歩した。風邪をひかせてはいけないので、ヒマラヤで使うダウンの靴下をはかせ、ダウンジャケットを着せて、首にはマフラー、足元は毛布でぐるぐる巻きにしての、完全防備の散歩だった。
 当然外は寒く、見ばえのする花が咲いているわけもない。それでも本人は外に出ると幸せそうだった。風の冷たさ、光のきらめき、空気の匂い、そのすべてから刺激を受けているのがはっきりと見て取れた。
 ゆっくりとした車いすのスピードで周囲に目をむけると、冬枯れの中にも小さな自然の息吹が感じられる。そして、木や花や風や空気や光が病人にもたらしてくれる刺激の大きさに毎日驚かされた。母の目の輝きが何よりそれを物語っていた。

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